事業承継税制の抜本的な見直し(平成30年度税制改正要望から)
○概要
今日本の中小企業経営者の高齢化が深刻な状態であり、今後5年間で30万人以上の経営者が70歳に達すると見られています。しかし、その半数以上の経営者が事業承継の準備ができていないのです。この問題に対処するための事業承継税制は長年議論されており改正も多いのですが、今年度は抜本的な見直しがされるようです。
○問題点
事業承継税制の根幹にあたる株式納税猶予制度とは、適用要件を満たせば中小企業の後継者の相続税・贈与税の負担を軽減するというものです。
株式納税猶予制度の問題点として、適用要件の煩雑さも挙げられていました。この問題については25年29年改正に盛り込まれており、適用要件が緩和されました。
しかし根本的な問題点として、会社の全株式の3分の2にかかる相続税額の8割までを納税猶予できる現行の株式納税猶予制度では、相続した株式全体にかかる相続税額の53%しか納税猶予できないのです。
これらの理由からか、事業承継税制の活用はほとんど広がっていないのです。
○要望
これらの問題点を解決するため、事業承継税制の抜本的な見直しが検討されています。経済産業省からの要望を受け、平成30年度税制改正では、全株式を対象に100%納税猶予して後継者の税負担を実質的に0にし、新税度は今後10年間に事業承継した場合に適用することで、中小企業の世代交代を集中的に促すとの方針で固まったようです。また、筆頭株主として株式を受け継いだ人以外でも猶予を受けられる等の改正も予定されています。
日本経済を支える中小企業の事業承継の遅滞は、現状を放置すれば中小企業の廃業の急激な増加により経済に深刻なダメージを与える恐れがあります。事業承継税制は、後継者らを税負担の面からサポートすることで世代交代を後押しし、日本経済の活力維持・発展を目指しているもので、今後更なる改正が期待されます。
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