平成28年相続税調査状況

○はじめに
11月13日、国税庁は、平成28事務年度における相続税の調査の状況を発表しました。
こちらの内容を要約・改訂しご紹介します。

○概要
平成28事務年度における相続税の調査は、平成26年相続発生事案を中心とし、1万2,116件行われ、このうち約8割(9,930件)で申告漏れが指摘されました。申告漏れ課税価格は3,295億円(前年3,004億円)と前年より約1割増加し、追徴税額(本税と罰金を合わせたもの)は716億円(前年583億円)と前年より約2割増加しています。

○相続財産の内訳
申告漏れ相続財産の金額の内訳では、現金・預貯金等が1,070億円と最も多く、申告漏れ相続財産の3割以上を占めています。現金・預貯金等といえば、相続開始日の通帳の残高を見がちですが、調査においては数年分の通帳の明細等を見られて、手許現金や名義預金等の指摘を受けたと考えられます。

○海外資産関連事案に係る調査
国税庁は、資産運用の国際化を背景に、相続税調査にあたっては、各国との租税条約等に基づく情報交換制度を活用して、海外資産の把握に力を入れています。この海外資産関連調査の件数は917件となり、集計を始めた平成13事務年度以降で最多となりました。また申告漏れ海外資産も52億円(前年47億円)と前年より約1割増加しています。

○贈与税の調査
贈与税の調査件数は3,722件(前年3,612件)と前年とほぼ同数ながら、申告漏れ課税価格は1,918億円(前年195億円)と前年より10倍近く増加しています。また追徴税額も453億円(前年49億円)と同様に10倍近く増加しています。これは平成27年の相続税法の改正を前に、子や孫へ資産を移そうと財産の大きな動きがあったからだと考えられます。

○平成29事務年度相続税調査について
平成29事務年度は、相続税法の改正があった平成27年に発生した相続を中心に調査がされます。平成27年の改正で相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられたことから、相続税の申告が必要とされる方が大きく増えるとみられています。課税局も調査人員を増やす等万全の体制を整えていますので、平成29事務年度は各項目でこれまで以上の数字になると予想されます。

○参考
国税庁(平成28事務年度における相続税の調査の状況について)

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