平成31年度税制改正のポイント 【2】 特定事業用宅地等に係る小規模宅地等についての相続税の特例の見直し
平成31年の改正のポイント
【2】 特定事業用宅地等に係る小規模宅地等についての相続税の特例の見直し
〇 はじめに
平成30年12月14日に、平成31年度与党税制改正大綱が公表されました。特定事業宅地等の特例についても改正がおこなわれることとなりました。この改正は平成30年改正における貸付事業用宅地等の特例に関する改正と同様のものとなっており、節税を目的とした駆け込み的な適用を防止するための措置とされています。
〇 従来の取り扱い
被相続人の事業(不動産の貸付を除く)の用に供されていた宅地等で、次の1又は2のいずれかを満たす被相続人の親族が取得した事業用宅地については、最大400㎡までの課税価格が80%減額されます。
1 被相続人が事業を行っていた場合
その親族が、被相続人の事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その事業を営んでいること
2 被相続人と生計を一にしていた親族が事業を行っていた場合
その親族が、被相続人と生計を一にしていた者であって、申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続きその宅地等を自己の事業の用に供していること
〇 平成31年改正の内容
個人版事業承継税制と選択適用となる特定事業用宅地等の小規模宅地特例については、平成30年改正の「貸付事業用宅地等」と同じく、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等が除かれることとなりました。
ただし、当該宅地等の上で事業に供されている減価償却資産の価格が、当該宅地等の相続時の価格の15%以上である場合には、相続開始前3年以内に事業の用に供した場合であっても、適用対象となります。
なお、この改正は、平成31年4月1日以後の相続等について適用されます。
〇 参考
https://www.jimin.jp/news/policy/138664.html (自由民主党HP 平成31年度税制改正大綱)
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