税法トピック
強まる富裕層への包囲網
〇 はじめに
少し前にはなりますが、国税庁が2016年10月25日に国際戦略トータルプラン〜国際課税の取組の現状と今後の方向〜を発表しました。
これは、近年、経済社会がますます国際化する中で、いわゆる富裕層や海外取引のある企業による海外への資産隠しや国際的な租税回避行為に対し、国税庁の今後の取組の現状と今後の方向を取りまとめたものです。
〇 富裕層への対応
その中
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平成29事務年度における相続税の調査の状況について
〇はじめに
12月12日、国税庁は、平成27年に発生した相続を中心に、実地調査件数及び申告漏れ等の非違件数を発表しました。
〇概要
(1) 実地調査件数及び申告漏れ等の非違件数
実地調査の件数は 12,576 件(平成 28 事務年度 12,116 件)、このうち申告漏れ等の非違があった件数は 10,521 件(平成 28 事務年度 9,930 件)で、非違割合は8
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平成29年分の相続税の申告状況を要約
【概要】
12月14日、大阪国税局は平成29年1月1日~12月31日に死亡した者に係る相続税の申告状況を発表しました。
【詳細】
1.被相続人数等
・平成29年の被相続人数は、210,436人(前年204,822人)です。
・うち相続税の課税対象となった(相続税額がある)被相続人数は、18,322人(前年17,287人)
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国税不服審判所が、平成30年4〜6月分の裁決事例集No.111を公表しました。
(1) 概要
裁決事例集No.111には、国税通則法関係3件、所得税関係4件、法人税関係6件、登録免許税関係1件、消費税関係2件、国税徴収法関係2件の合計18事例が掲載されています。今回は、そのうち贈与税の更正の請求に係る1事例を要約してお伝えいたします。
【国税通則法】
○贈与税の更正の請求
・ 平成30年6月22日裁決
(平成24年分贈与税の更正をすべき理由がない旨
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相続税申告に際して失敗しないポイント
ポイント1 相続税の申告書の提出先はどこ?
相続税の申告書は、被相続人の死亡の時における「住所地」の所轄税務署長へ提出することになっています(相法附則3、相基通27-3)。
この「住所」とは、住民登録をした住所に限らず、その人の客観的な生活の本拠地であるかどうかで判定されます(相基通1の3・1の4共-5)。
例えば、被相続人が住民登録を自宅においたまま、生前に終身利
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文科省が教育資金贈与の非課税制度恒久化を平成31年度税制改正要望で求める方針
〇はじめに
文部科学省が平成31年度税制改正要望で、祖父母らが孫らに教育資金の一括贈与をした場合の贈与税の非課税措置について、恒久化を求める可能性があるそうです。平成31年3月31日までの時限措置となっていますが、これを恒久措置とすることで、高齢者から若い世代に資産の移転が進み、同時に親の教育費負担の軽減にも繋がるでしょう。
〇制度の概要
平成25年4月1日から平成31年
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遺産分割協議中に生じた相続不動産の賃料の帰属について②
○はじめに
前回、遺産分割協議中に生じた相続不動産の賃料は、共同相続人が法定相続分に応じて分割取得することを紹介しました。今回は、この賃料と税務の関わりをご紹介します。
○所得税の問題
所得税について、その年の所得は翌年の3月15日までに確定申告しなければなりません。もし年末において、遺産分割協議がまとまっていなかった場合、相続不動産は共同相続人の共有状態であることから、そこから
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遺産分割協議中に生じた相続不動産の賃料の帰属について①
○はじめに
昨今の相続税対策ブームからか、相続財産に賃貸不動産が含まれる事例が多いです。しかし、遺産分割協議が長期化した場合、相続開始から遺産分割までの間の賃料収入が多額になることも考えられます。したがって、この賃料収入についても新たな争いの種になることもあるのです。
○賃料の帰属先
遺産分割後の賃料については、賃貸不動産の取得者が賃料を取得することになりますが、問題は遺産分割協
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宅地の評価単位
○宅地の評価単位の基本
財産評価基本通達において、土地の価額は、評価単位ごとに評価することとされており、宅地については、利用の単位となっている1区画の宅地(1画地の宅地)が一つの評価単位となります。(財産評価基本通達7-2)
この評価単位の判定にあたっては、まず遺産分割後の所有者ごとに評価します。これは、相続税の計算が、いわゆる法定相続分課税方式による遺産取得者課税を採用していることなどからで
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財産評価基本通達とは
○はじめに
財産評価基本通達とは、課税庁が相続税を課税するときの財産評価の基本的な取扱いについて定めたものです。通達ですので、あくまで行政機関内部における指針という位置づけですが、実務上納税者側もこれに従い申告します。
○相続税法上の時価とは
相続等により取得した財産の価額は、原則的にその財産の取得の時における時価です。(相続税法第22条)ここでいう時価とは通常成立すると認められる価額、
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